監修:小林 正敬(こばやし まさたか)|まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事兼院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医・日本内科学会 総合内科専門医・日本糖尿病協会療養指導医・日本東洋医学会所属。
最終更新:2026年7月
結論を先に:マンジャロ(一般名チルゼパチド)は、日本で2型糖尿病の治療薬として承認され、臨床試験と市販後の監視を経て使われている医薬品です。副作用がゼロの薬ではありません。ただ、「危険かどうか」を分けるのは薬そのものより、誰の管理のもとで・どこから入手して・どう使うか——この3つの掛け算です。
「『マンジャロ やばい』で検索したら怖い話ばかり出てきて、始めるのをためらっています」——外来で、そう打ち明けられたことがあります。SNSには「吐き気が地獄だった」という体験談が流れ、ニュースでは転売の摘発や海外の死亡例が報じられる。不安になるのは当然だと思います。
この記事では、恐怖をあおる話も、「大丈夫ですよ」で済ませる話もしません。添付文書と公的機関の発表だけを根拠に、よくある副作用とまれに起こる重い副作用を頻度つきで整理し、「やばい」と言われる理由を一つずつ解きほぐしていきます。読み終わる頃には、ご自身が何を確認すればよいかが見えているはずです。
まず3行で
マンジャロは承認された2型糖尿病治療薬で、吐き気・便秘などの副作用は比較的多いものの、多くは開始・増量期に集中します。急性膵炎など重い副作用はまれですが、初動が大切です。危険度を決める最大の変数は「医師の管理があるか」——個人輸入や自己判断での使用が、リスクを大きく引き上げます。
1. 結論|承認された糖尿病治療薬。リスクは「誰の管理で使うか」で大きく変わります
マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体という2つの受容体に働きかけて血糖を下げる、週1回の皮下注射薬です。 日本では2型糖尿病の治療薬として承認されており、血糖を下げる作用に加えて、脳の食欲中枢や胃の動き(内容物の排出を緩やかにする働き)を介して食欲が抑えられ、体重が減る方が多いことも知られています(マンジャロ添付文書|日本イーライリリー)。「怪しい薬」ではなく、承認審査と市販後の安全性監視の仕組みに乗った医薬品——まず、ここが出発点です。
そのうえで、糖尿病専門医として正直に言えば、「マンジャロは安全か危険か」という二択の問いには、そのままでは答えられません。同じ薬でも、置かれた状況で危険度がまるで変わるからです。私は外来でこう説明しています。
マンジャロの危険度 = 薬そのもののリスク × 入手経路 × 管理体制
- 薬そのもののリスク:添付文書に整理されており、頻度も対処法も分かっている(第3章)
- 入手経路:国内正規流通か、真偽不明の個人輸入か(第5章)
- 管理体制:体質・既往歴を診て、異変時に相談できる医師がいるか(第4章・第6章)
薬のリスクは変えられませんが、入手経路と管理体制は自分で選べます。つまり「マンジャロがやばいかどうか」の答えの半分以上は、薬ではなく使い方の側にあるのです。以下、順に見ていきます。
2. マンジャロが「やばい」と言われる3つの理由
検索やSNSで「やばい」という言葉が広がる背景には、性質の異なる3つの話が混ざっています。 分けて眺めると、それぞれへの対処が見えてきます。
理由①:副作用の体験談が拡散しやすい
「吐き気がつらかった」「便秘がひどい」という投稿は、嘘ではありません。後述のとおり、消化器症状はこの薬で実際に頻度の高い副作用です。ただしネットの体験談には、つらかった人ほど書き込むという偏りがあります。症状がないまま続けている大勢の方は、わざわざ投稿しません。「体験談が多い=全員に起こる」ではない、という距離感が要ります。
理由②:非正規入手をめぐる事件・偽造品のニュース
2026年に入り、SNSでのマンジャロ無許可販売への東京都の警告(J-CASTニュース)、大阪府警による転売の書類送検(日本経済新聞)、厚生労働大臣の「個人間売買は違法」という明言(毎日新聞)と、取り締まりの動きが相次いで報じられました。これらは薬そのものの危険性ではなく、入手経路の危険性の話です。ところが見出しだけが流れると「マンジャロ=やばい薬」という印象に合流してしまいます。
理由③:適応外・無管理使用への警鐘
日本糖尿病学会は、美容・痩身・ダイエット目的の適応外使用について「2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていない」とする見解を公表しています(日本糖尿病学会)。国民生活センターにも、痩身目的のオンライン診療をめぐる相談が2021年度の49件から2022年度には205件へと急増し、問診が不十分なまま初診で数か月分が処方されるといった事例が報告されました(国民生活センター 2023年12月)。つまり専門家が鳴らしている警鐘は「この薬を使うな」ではなく、「管理のない使い方をするな」なのです。
3つを並べると、構図がはっきりします。①は薬固有のリスクで、頻度と対処法が分かっている。②と③は使い方・入手経路のリスクで、避けようがある。次章で①を、第4〜6章で②③への備えを具体的に見ます。
3. 本当のリスク|添付文書ベースで整理する副作用・禁忌
マンジャロの副作用は「頻度が高いが多くは対処できるもの」と「まれだが初動が大切なもの」の2層に分かれます。 添付文書の記載に沿って整理します(以下の頻度はいずれも添付文書より)。

| 分類 | 主な症状 | 添付文書上の頻度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| よくある副作用 | 悪心(吐き気)・嘔吐・下痢・便秘・食欲減退・消化不良 | 悪心は国内単独療法試験(40週)で5mg群10.7%、15mg群17.4%。国内の別試験では便秘・食欲減退も1〜2割程度 | 開始時・増量時に出やすく、多くは時間とともに軽快 |
| まれだが重要 | 急性膵炎 | 0.1%未満 | 嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛。膵炎と診断されたら再投与しない |
| まれだが重要 | 低血糖 | インスリン製剤やSU薬との併用でリスク上昇 | 冷や汗・ふるえ・意識障害。併用薬の調整で予防 |
| まれだが重要 | 胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸 | 胆管炎0.1%未満、他は頻度不明 | 右上腹部痛・発熱・黄疸 |
| まれだが重要 | イレウス(腸閉塞) | 頻度不明 | 強い腹部膨満・嘔吐・排便の停止 |
| まれだが重要 | アナフィラキシー・血管性浮腫 | 頻度不明 | じんましん・顔や喉の腫れ・呼吸困難 |
(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)
3-1. よくある副作用:消化器症状は「最初の壁」
数字が示すとおり、吐き気や便秘は珍しくありません。10人に1〜2人という頻度は、医薬品としては高い部類です。ここを隠して「ほとんど副作用はありません」と言うつもりは、私にはありません。一方で、これらの症状は開始時と増量のタイミングに集中し、体が慣れるにつれて落ち着いていく方が多い——これも診療で繰り返し見てきた経過です。外来では「吐き気が出たら終わり」ではなく、食事量・便通・増量のタイミングを一緒に調整しながら続けられる方が少なくありません。食べ方の工夫、便秘薬や漢方薬の併用、増量を急がない判断で、多くは調整しながら続けられます。ただし症状が強いときは、無理に続けず、中止と受診を優先します。
3-2. まれだが見逃せない副作用:知っておくべきは「初動」
急性膵炎は0.1%未満とまれですが、起きたときに放置すると重くなりうる副作用です。低血糖は、マンジャロ単独では起こしにくいものの、インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)と併用している方では頻度が上がります。だからこそ、次のサインだけは覚えておいてください。
すぐに使用をやめて医療機関を受診すべきサイン
- 嘔吐を伴う、持続する激しい腹痛(背中に抜ける痛みを含む)→ 急性膵炎の疑い
- 冷や汗・強いふるえ・意識がもうろうとする → 低血糖の疑い(まず糖分を摂る)
- 右上腹部の痛み・発熱・皮膚や白目が黄色い → 胆嚢・胆管系の疑い
- 強い腹部の張りと嘔吐、排便・排ガスの停止 → イレウスの疑い
- じんましん、顔・唇・喉の腫れ、呼吸のしづらさ → アレルギー反応の疑い(救急要請を)
英国の医薬品規制当局MHRAも2026年1月、GLP-1関連薬の製品情報を更新し、急性膵炎を「知られているが頻度の低い副作用」としたうえで、症状(背部に放散する持続的な激しい腹痛、悪心・嘔吐)を患者自身が認識し、疑ったら緊急に受診するよう呼びかけました(GOV.UK)。規制当局の答えも「使うな」ではなく「知って、早く動け」なのです。
3-3. 使ってはいけない方(禁忌)
添付文書で投与してはいけないと定められているのは、本剤の成分に過敏症の既往がある方、糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡または前昏睡・1型糖尿病の方(インスリン治療が不可欠なため)、重症感染症や手術など緊急の対応が必要な状態の方です。加えて、膵炎の既往がある方、重い胃腸障害のある方、腹部手術やイレウスの既往がある方、増殖糖尿病網膜症のある方などは、投与の可否や経過観察を慎重に判断します。ここは自己判断では見極めようがなく、医師の問診が要る領域です。
3-4. 報道された「死亡例」を、事実に沿って詳しく見る
「マンジャロ 死亡」で検索している方のために、確認できる事実をできるだけ具体的にお伝えします。見出しの数字だけが独り歩きすると、かえって不安が大きくなってしまうからです。この事例は本当に例外的なものですが、その中身を丁寧にたどると、むしろ「どう使うか」の大切さがはっきり見えてきます。
英国で2024年、体重を減らす目的でチルゼパチドを使い始めた58歳の女性看護師が亡くなりました。報道によれば、この方は医療機関で継続的に診てもらう形ではなく、オンライン薬局で薬を購入し、約2週間のあいだに2回、低用量を自分で注射しました。その後、強い腹痛と吐き気が現れて救急を受診し、腎臓の機能が急速に悪化して多臓器不全に至り、9月4日に亡くなっています。死亡診断書には、直接の死因として多臓器不全・敗血症性ショック・急性膵炎が、寄与要因として「処方されたチルゼパチドの使用」が記載されたと報じられました(Forbes 2024年11月)。英国で公式にこの薬と関連づけられた初めての死亡例とされています。
痛ましい出来事です。同時にこの経過は、この記事がお伝えしてきたことを、そのまま裏づけてもいます。ひとつ、入手経路が「継続して診てくれる医師のいないオンライン購入」だったこと。ふたつ、命に関わりうる急性膵炎のサイン——嘔吐を伴う、持続する激しい腹痛——が実際に現れていたこと。みっつ、そのサインが出たときに「いつ・誰にすぐ相談すればよいか」という道筋が、ご本人の手もとになかったこと。この3つ——危険サインをあらかじめ知っていること、異変が出た瞬間に相談・受診できる相手がいること、その道筋が手もとにあること——は、いずれも早期の対応につながりうる条件です。急性膵炎は0.1%未満とまれで、しかも初動で気づけるサインがはっきりしている副作用でもあります。だからこそ、その初動を支える「管理」が要になります。
念のため補足します。副作用として報告された死亡例は、「薬が原因だと証明されたもの」とは限りません。持病や他の要因が重なった例も含まれ、規制当局も報告と因果関係を分けて評価しています。英国のMHRAも2026年1月、急性膵炎を「頻度は低いが、まれに重くなりうる副作用」と位置づけ、症状を知って早めに受診するよう改めて呼びかけました(GOV.UK)。見出しの数字だけで「死ぬ薬」と決めつけるのも、逆に「自分には関係ない」と切り捨てるのも、どちらも正確ではありません。正しい向き合い方は、リスクを具体的に知ったうえで、危険サインに気づける環境——つまり医師の管理のもとで使うことです。
3-5. マンジャロのデメリットは「副作用」だけではない
「マンジャロ デメリット」と調べている方に向けて、危険性(副作用)とは別の次元の現実的なデメリットも先に挙げておきます。副作用の話だけで判断すると、始めてから「こんなはずでは」となりがちだからです。
- 費用:痩身目的では自由診療(保険適用外)となり、続けるあいだ費用の負担が続きます。
- 注射であること:週1回とはいえ皮下注射で、飲み薬ではありません。
- 中止後のリバウンド:やめると体重が戻りやすいことが海外の大規模試験(SURMOUNT-4)で示されており、「やめ方」まで設計が要ります(JAMA, 2024)。
- 適応外使用のリスク:痩身目的は国内では適応外で、重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
副作用のリスクとこの4つを同じ天秤に載せて、それでもメリットが上回ると納得できたときに、はじめて医師と始め方を相談する——この順番が、後悔のない判断につながります。
4. リスクを下げる使い方|血糖・体重・副作用を診ながら段階的に
第3章のリスクは、管理の仕方でかなりの部分を予測し、備えることができます。 当院が2023年4月以降、1,000例以上の処方で積み重ねてきた運用は、特別な裏技ではありません。基本に忠実な、次の4点の積み重ねです。
| 管理ポイント | 具体的にすること | 下げられるリスク |
|---|---|---|
| ①開始前の見極め | 既往歴(膵炎・胃腸・腹部手術)・併用薬・体質を問診し、可否を判断 | 禁忌・慎重投与の見落とし |
| ②増量を急がない | 週1回2.5mgから開始し、症状を見ながら段階的に増量 | 吐き気・便秘などの消化器症状 |
| ③副作用サポート | 体質に合わせた漢方併用、必要時は対面・血液検査へ切替 | 症状の悪化・中断 |
| ④正規流通・温度管理 | 国内正規品を2〜8℃のクール便で直送(薬局受け取りではない) | 偽造品・変質 |
(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)
以下、それぞれを補足します。
まず、始める前の見極めです。問診で既往歴(膵炎・胃腸の病気・腹部手術など)、併用薬(インスリン・SU薬による低血糖リスク)、体質を確認し、処方できると判断した場合にのみお届けします。診察の結果、処方を見合わせて別の方法をご提案することもあります。
次に、増量を急がないこと。マンジャロは週1回2.5mgから開始し、段階的に増量していく設計の薬です。消化器症状は増量のタイミングで出やすいため、私は診察のたびに吐き気・便秘の有無と食事量を確認し、症状が残っているうちは増量を見送る判断をよくします。数字の上では遠回りに見えても、続けられることがいちばんの近道だからです。
副作用への備えには、漢方薬の併用という選択肢も用意しています。吐き気や便秘といった消化器症状に対して、体質に合わせた漢方薬を組み合わせてサポートします(院長は日本東洋医学会に所属し、漢方診療にも対応しています)。それでも症状が強い場合や、血糖・肝機能などを客観的に確認したい場合には、オンラインにこだわらず対面診療や血液検査への切り替えをご案内します。オンラインで完結させることが目的ではなく、安全に続けることが目的だからです。
薬の品質管理も、リスクを下げる要素のひとつです。自由診療のマンジャロは薬局での受け取りではなく、当院から直接、2〜8℃のクール便でご自宅へお届けします。温度管理された正規流通品が、診察とセットで届く——第5章で見る個人輸入との違いは、まさにここにあります。
▶ 糖尿病専門医によるマンジャロ オンライン診療の詳細を見る →
5. 個人輸入・通販のマンジャロが危険な理由
「マンジャロはやばい」という話の少なくない部分は、薬ではなく入手経路の問題です。 海外通販や個人輸入代行で手に入れた薬には、日本の品質チェックを受けていない、偽造品が混ざりうる、2〜8℃の温度管理が保証されない、そして重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外という、構造的な弱点が重なります(厚生労働省、PMDA)。

しかも第3章で見たとおり、この薬のリスク管理は「始める前の見極め」と「異変時の初動」に懸かっています。個人輸入には、そのどちらもありません。吐き気が出ても相談する相手がおらず、腹痛が膵炎のサインだと気づく機会もない。薬そのもののリスクに、無管理というリスクが上乗せされるわけです。SNSの「譲ります」に至っては、売る側が薬機法違反に問われる領域で、2026年には書類送検も報じられました(時事通信)。
通販・個人輸入・SNS売買の具体的なリスクと2026年の規制の動きは、別記事で詳しく整理しています。入手経路で迷っている方は、先にこちらをお読みください。
▶ マンジャロのオンライン購入|個人輸入の危険と正規診療の違い →
6. こんな方は特に医師の管理が必要です
次のいずれかに当てはまる方は、「使えるかどうか」の判断そのものに医学的な見極めが要ります。 自己判断で始めるのは避けてください。
医師の管理が特に必要なチェックリスト
- □ 膵炎・胆石症など、膵臓や胆のうの病気をしたことがある
- □ 胃腸の病気(重い胃もたれ・腸閉塞・腹部手術の経験など)がある
- □ インスリンやSU薬など、血糖を下げる薬をすでに使っている
- □ 糖尿病網膜症と言われたことがある
- □ 65歳以上、または体重がかなり少ない
- □ 妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある
- □ 持病の薬を複数飲んでいる
当てはまった方に「使えません」と言いたいのではありません。既往や併用薬があるからこそ、専門医が診ながら使うことに意味があります。参考までに、私が初回の問診で必ず確認しているのは、膵臓・胆のう・胃腸の病気の既往、血糖を下げる薬(インスリン・SU薬)の併用、そして直近の体重・血糖の推移の3点です。ここを飛ばして薬だけ渡す使い方こそ、いちばん避けたいものです。とくに血糖値や糖尿病の指摘を受けたことがある方は、体重の話の前に血糖の評価が先になります。糖尿病の診療ページもあわせてご覧ください。
7. よくある質問(FAQ)
「マンジャロ 危険」をめぐる不安は、突きつめると副作用・死亡例・依存性・長期使用・リバウンド・処方先の6点に集約されます。 外来やオンラインのご相談で実際に多い質問に、結論からお答えします。
Q1. 結局、マンジャロは危険な薬なのですか?
承認審査を経た医薬品であり、「危険な薬」とひとくくりにはできません。ただし副作用はゼロではなく、「安全です」と言い切ることもできません。吐き気・便秘などの頻度の高い副作用と、急性膵炎などのまれで重い副作用があり、どちらも医師の管理下なら予測と備えが可能です。危険度を大きく左右するのは、入手経路と管理体制です。
Q2. 「やばい」「怖い」という口コミは嘘なのですか?
嘘とは限りません。消化器症状は実際に頻度の高い副作用で、つらい経験をした方の投稿は事実でしょう。ただ、体験談は「つらかった人ほど発信する」偏りを持ちます。症状なく続けている多数の方の声はネットに現れにくいこと、症状の多くが開始・増量期に限られることを差し引いて読む必要があります。
Q3. 依存性はありますか?
チルゼパチドに依存性は報告されていません。ただし、漫然と続ける薬ではありません。血糖・体重・副作用を確認しながら、続けるか、減らすか、やめるかを医師が定期的に見直すことが前提の薬です。
Q4. 長期間使っても大丈夫ですか?
国内外の臨床試験では1年以上の投与データが蓄積されています。ただし、確認されているのはあくまで試験で調べられた期間・対象者の範囲であり、そこでは長期使用に特有の新たなリスクがはっきり示されているわけではない、というのが正確な言い方です。「何年でも無条件に続けてよい」という意味ではありません。定期的な診察で血糖・体重・副作用を確認しながら続けるのが原則です。
Q5. やめたらリバウンドしますか?
中止後に食欲が戻り、体重が再び増えることは海外の臨床試験(SURMOUNT-4)で報告されています。だからこそ、急にやめるのではなく、食事・運動の習慣を整えたうえで段階的に減らす「出口の設計」まで含めて医師と相談してください。当院でも、やめ方のご相談は診察の重要なテーマにしています。
Q6. 死亡例があると聞きました。本当ですか?
英国で2024年、チルゼパチド使用後に死亡した事例が報じられ、死亡診断書に薬の使用が寄与要因として記載されました。一方で、副作用報告は因果関係が証明されたものとは限らず、規制当局も両者を区別して評価しています。この事例が示すのは「腹痛などの異変時に、すぐ相談・受診できる体制で使うことの重さ」だと考えています。私も腹痛の相談を受けたときは、痛む場所・持続時間・嘔吐の有無を必ず確かめ、膵炎を疑う所見があれば使用の中止と受診をその場でご案内します。詳しくは本文の第3章をお読みください。
Q7. 痩せる目的で使うのは「やばい」ですか?
痩身目的の使用は国内では適応外で、日本糖尿病学会も2型糖尿病でない方への安全性・有効性は確認されていないとの見解を示しています。また適応外使用では、医師の処方でも副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。それでも体重や代謝の問題に早く取り組みたい方には、リスクとデメリットを理解したうえで、医師の管理下の自由診療という選択肢があります。問診なしで薬だけ手に入れる方法と、専門医が適応を見極めながら伴走する方法——同じ「痩せる目的」でも中身はまったく別物です。
Q8. どこで処方を受けるのが安心ですか?
診察で適応とリスクを確認してくれること、国内正規流通の薬を温度管理して届けてくれること、副作用が出たときに相談できることの3つがそろった医療機関です。当院の糖尿病専門医によるマンジャロ オンライン診療の内容は、こちらのページにまとめています。
8. まとめ|「やばいかどうか」は、使い方で決まります
マンジャロは「薬そのものがやばい」のではなく、無管理・非正規入手・自己判断で使ったときにリスクが跳ね上がる薬です。 ここまで見てきた事実を一言にまとめると、これに尽きます。
マンジャロは、承認された2型糖尿病治療薬です。頻度の高い消化器症状と、まれで重い副作用があり、リスクを隠すことはできません。それでも、危険度の大半を決めるのは薬ではなく使い方の側——問診で適応を見極め、段階的に増量し、危険サインを知り、異変時に相談できる相手を持つこと。この記事で見てきた事実は、すべてこの一点に収れんします。
不安な方は、始める前に次の5つを確認してみてください。
「やばい」を避けるための5つの確認
- □ 医師の問診で既往歴・併用薬を確認してもらったか
- □ 国内正規流通の薬を、温度管理された状態で受け取れるか
- □ 増量のペースを医師と相談しながら決められるか
- □ 受診すべき危険サイン(激しい腹痛・低血糖症状など)を教わったか
- □ 副作用が出たとき、すぐ相談できる窓口があるか
ひとつでも「いいえ」があるなら、その入手方法・使い方は見直すサインです。当院では、糖尿病専門医が1,000例以上の処方経験をもとに、適応の見極めから副作用のサポート(漢方併用を含む)、やめ方の設計までを一貫して診ています。副作用が怖くて迷っている方、過去の病気や飲んでいる薬のために使えるか不安な方は、薬を手に入れる前に、まず診察でご自身が使えるかどうかを確かめるのが安全です。「怖い」と感じている方こそ、その不安を診察の場でそのままぶつけてください。
ご利用にあたってのご注意
痩身目的でのマンジャロ使用は適応外・自由診療であり、副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。効果や副作用の出方には個人差があります。費用・リスク・標準治療(食事・運動)との違いを理解したうえで、医師とよく相談して決めてください。
監修者

小林 正敬(こばやし まさたか)|まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院(東京・飯田橋/糖尿病内科・代謝内分泌内科・内科)代表理事兼院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医(第06341号)、日本内科学会 総合内科専門医(第022910号)、日本糖尿病協会療養指導医、日本東洋医学会所属。糖尿病・代謝・内分泌を専門とし、GLP-1/GIP受容体作動薬を用いた治療と漢方診療に対応しています。院長紹介はこちら
(監修日・最終更新:2026年7月3日)
関連ページ
– マンジャロ オンライン診療(料金・申込)
– マンジャロのオンライン購入|個人輸入の危険と正規診療の違い
– 血液検査のご案内
– 糖尿病の診療
参考・出典
– マンジャロ皮下注 添付文書(日本イーライリリー)
– GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解
– 痩身目的等のオンライン診療トラブル(国民生活センター・2023年12月20日)
– 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)
– 医薬品副作用被害救済制度(PMDA)
– MHRA updates guidance for GLP-1 prescribers and patients(英国MHRA・2026年1月29日)
– 英国のチルゼパチド使用後死亡例の報道(Forbes・2024年11月9日)
– チルゼパチド中止後の体重再増加 SURMOUNT-4(JAMA, 2024)
– 東京都によるSNS無許可販売への警告(J-CAST/日本ネット経済新聞)
– マンジャロ無許可販売での書類送検(日本経済新聞/時事通信)
– 厚生労働大臣「個人間売買は違法」発言・2026年6月5日(毎日新聞/産経新聞)