監修:小林 正敬(こばやし まさたか)|まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院 代表理事兼院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医・日本内科学会 総合内科専門医・日本糖尿病協会療養指導医・日本東洋医学会所属。 最終更新:2026年9月
カグリセマが使えるまで待つべきか、今のウゴービやマンジャロから乗り換えるべきか。外来でも、ウゴービやマンジャロを使っている方からよく受ける質問です。
結論を先に:カグリセマ(CagriSema)は、デンマークの製薬会社ノボ ノルディスク(Novo Nordisk A/S)が開発するカグリリンチドとセマグルチドの配合薬です。 米国では2025年12月18日に承認申請済みで、目標判定日は非公表、会社の見込みは2026年10〜12月です。日本では未承認で、承認申請の発表もありません。
私は、新薬を待つために今の治療を止めたり、始める時期を先送りにしたりしません。理由の一つが、マンジャロ・ゼップバウンドの成分であるチルゼパチドと比べたREDEFINE 4の結果です。薬を続けた場合の推定では、84週の体重変化はカグリセマ−23.0%、チルゼパチド15mgは−25.5%で、カグリセマの減量幅はチルゼパチド15mgを上回りませんでした。今の薬で得ている効果を、新薬への期待だけで手放す理由はないと考えています。
この記事でわかること
- カグリセマとウゴービは、成分と効果がどう違うのか
- マンジャロ・ゼップバウンドと直接比べるとどうだったのか
- 副作用が出たとき、医師は何を見て判断するのか
- 日本ではいつ使えるのか
- 新薬を待つ間に、今の治療で取り組めることは何か
日本での承認状況(2026年9月29日確認)
米国ではノボ ノルディスクが2025年12月18日に承認申請を提出し、会社は判定を2026年10〜12月に見込んでいます。目標判定日は非公表で、日本での承認申請の発表もありません。米国製品名・審査区分・FDAの承認や審査延期などの判断は、2026年9月29日時点で公表されていません(出典31)。本記事は、米国の申請情報、企業の公表資料、査読済み臨床試験を根拠とする一般向けの医療情報です。個別の診断・治療や未承認薬の使用を勧めるものではありません。承認状況は毎月確認し、変更を確認した場合は本ページへ反映します。
主な更新履歴: 2026年9月29日 初版公開
1. カグリセマ(CagriSema)早見表:30秒でわかる要点
カグリセマは、アミリンとGLP-1という2つのホルモンの働きを組み合わせた注射薬です。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 開発名・読み方 | CagriSema(カグリセマ)は開発名。 |
| 成分 | カグリリンチド2.4mg+セマグルチド2.4mgを決まった量で組み合わせた配合薬。 |
| 何の薬か | カグリリンチド(アミリン受容体作動薬)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の配合。 |
| 投与法 | 週1回の皮下注射。REDEFINE 5の登録では16週かけて少しずつ増量し、その後は量を維持。 |
| 代表的な効果 | REDEFINE 1(68週):体重−20.4%(プラセボ−3.0%)。途中で薬をやめた人も含めた集計。 |
| 主な副作用 | 吐き気などの消化器症状。REDEFINE 1・68週の消化器有害事象は79.6%対プラセボ39.9%。 |
| 米国の状況 | 2025年12月18日に承認申請済み。会社の判定見込みは2026年10〜12月(目標判定日は非公表)。 |
| 日本の状況 | 日本未承認。国内の承認申請の発表なし。 |
| 似た薬との違い | ウゴービはセマグルチド単剤、マンジャロ・ゼップバウンドはチルゼパチドで、カグリセマはカグリリンチドとセマグルチドの配合薬です。 |
出典:1、7、11、16。
2. カグリセマとウゴービの違いは?カグリリンチドでアミリンの働きを足した配合薬
カグリセマは、ウゴービの成分セマグルチドに、ホルモン「アミリン」の働きをするカグリリンチドを加えた配合薬です。
カグリリンチドとは
カグリリンチドは、体内のホルモン「アミリン」に似せたアミリンアナログで、アミリン受容体作動薬に分類されています。アミリンの構造の一部を変えて線維状に固まりにくくし、脂質を付けて体内に長くとどまるようにしています。カグリリンチドは、アミリン受容体とカルシトニン受容体の両方に作用します(出典2、5)。
第1b相試験で確認された半減期は159〜195時間です。半減期は、体内の薬の量が半分になるまでの時間を指します。長く体内にとどまる性質を生かし、週1回投与する薬として開発が進んでいます。
アミリンは満腹と食欲に関わるホルモン
アミリンは、膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンです。満腹感を高めるほか、食べ物を魅力的に感じて「食べたい」と思う気持ちを弱める働きも研究されています。胃から食べ物が送り出されるのを遅らせ、グルカゴン(血糖を上げる働きをするホルモン)の分泌を抑え、脳で食欲を調節します。こうした一般的な作用は、アミリン製剤プラムリンチドの米国添付文書にも記載されています(出典3、4)。
セマグルチドはウゴービと同じ成分
セマグルチドは、GLP-1の働きをまねる「GLP-1受容体作動薬」です。カグリセマに含まれる2.4mgは、ウゴービと同じ成分・用量に当たります。今ウゴービを使っている方にとっては、その成分に別の働きを加えた薬、と考えると分かりやすいでしょう。
効き方の違う2つの成分を組み合わせる理由
空腹感を減らして満腹感を高めるために、異なる働きを持つ2つの成分を組み合わせています。カグリリンチド単独の第2相試験では、継続時の推定(薬を続けた場合)で、26週の体重変化は4.5mgで−10.8%、比較したリラグルチド3.0mgで−9.0%でした(出典6)。
第1b相試験は参加者96人の小規模な試験で、体重は主要評価項目ではなく探索的に評価されました。20週の体重変化は、カグリリンチド2.4mg+セマグルチド2.4mgで−17.1%、プラセボ+セマグルチド2.4mgで−9.8%でした。カグリリンチドを加えた人のほうが、体重は大きく減っています(出典5)。
開発名と表記について
CagriSemaは配合薬の開発名です。成分の英字表記はCagrilintideで、日本語では「カグリリンチド」と表記します。「カグリンチド」「カグリリンタイド」と書かれることもありますが、同じ成分を指しています。

3. カグリセマの効果:体重と血糖はどう変わる?主要4試験の結果
カグリセマの68週の体重変化は、糖尿病のない人のREDEFINE 1で−20.4%、2型糖尿病がある人のREDEFINE 2で−13.7%でした。いずれも中止を含む集計で、REDEFINE 2ではHbA1cが6.5%以下になった人は73.5%、プラセボ(偽薬)は15.9%です。
REDEFINE 1:糖尿病のない肥満・過体重の人
REDEFINE 1は、糖尿病のない3,417人が参加した、68週にわたる第3a相試験です。対象はBMI30以上、またはBMI27以上で肥満に関連する合併症がある人。カグリセマ、カグリリンチド単剤、セマグルチド単剤、プラセボの4群を比べました。参加者にも担当者にも使う薬を知らせない「二重盲検」という方法です。
以下では、特に断らない限り、中止を含む集計を示します。体重変化の%は、試験開始時の体重に対する割合を表します。68週の体重変化は、カグリセマで−20.4%、プラセボで−3.0%。継続時の推定では、それぞれ−22.7%、−2.3%でした(出典7)。
68週で20%以上減量した人はカグリセマ53.6%対プラセボ1.9%、25%以上なら34.7%対1.0%、30%以上は19.3%対0.4%。試験開始時にBMI30以上だった人のうち、68週でBMI30未満になった割合は54.0%対11.1%でした。
体重だけでなく、何が減ったかも大切です。252人を対象にしたDXA検査(体の脂肪量と脂肪以外の組織量を測る検査)では、68週の脂肪量の変化はカグリセマ−35.7%、プラセボ−5.7%。筋肉など脂肪以外の軟らかい組織の量(除脂肪軟組織量)も、−14.4%対−4.2%と減っています。
68週時点で最高用量の2.4/2.4mgを使っていた人は57.4%です。この表記は、左がカグリリンチド、右がセマグルチドの量を表します。
ウゴービに何を足すと、効果はどう変わった?
カグリセマは、ウゴービと同じセマグルチド2.4mgに、カグリリンチド2.4mgを加えた配合です。同じREDEFINE 1の68週で、セマグルチド単独の体重変化は−14.9%、カグリリンチド単独は−11.5%でした(出典7、36)。カグリセマは−20.4%で、セマグルチド単独より大きな減量幅です。
継続時の推定でも、セマグルチド単独は−16.1%、カグリリンチド単独は−11.8%、カグリセマは−22.7%でした。同じ条件で配合薬と単剤を比べた結果は、ウゴービとの違いを知る参考になります(出典7)。

REDEFINE 2:肥満・過体重と2型糖尿病がある人
REDEFINE 2は、1,206人を対象に68週にわたって行われた二重盲検試験です。体重変化はカグリセマ−13.7%、プラセボ−3.4%で、継続時の推定では−15.7%対−3.1%となりました。
HbA1c(血糖の状態をみる指標)が68週で6.5%以下になった人は、カグリセマ73.5%、プラセボ15.9%です。68週時点で最高用量を使っていた人は、カグリセマ群の61.9%と報告されています(出典9、10)。
REDEFINE 5:日本・台湾でセマグルチドと比較
継続時の推定では、68週の体重変化はカグリセマ−18.4%、セマグルチド2.4mgは−11.9%でした。減量幅の差は6.5ポイントです(出典11)。
これは日本人だけを取り出した数値ではなく、日本の21施設と台湾の1施設が参加した331人全体の結果です。対象は、BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上ある人、またはBMI35以上で1つ以上ある人でした。日本で肥満症の薬を使うときの承認基準に沿った条件で、セマグルチドと比べています(出典11)。
REIMAGINE 2:2型糖尿病の人でセマグルチドと比較
REIMAGINE 2は、肥満・過体重と2型糖尿病がある人を対象とした試験です。カグリセマとセマグルチド2.4mgを68週にわたって比べ、体重とHbA1cの変化を調べました。計画どおりの推定では、体重変化は−14.2%対−10.2%、HbA1cの変化は−1.91対−1.75ポイントです(出典12)。HbA1cの変化は、%で表される値の差を「ポイント」で示しています。
試験ごとの結果を比べるときの注意点
別々の試験の数値だけでは、薬の優劣を決められません。対象となる人、推定方法、比較相手が異なるためです。
| 試験 | 対象 | 人数 | 期間 | 推定方法 | カグリセマ | 比較した薬(値) | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| REDEFINE 1 | 糖尿病なし・肥満等 | 3,417 | 68週 | 中止を含む集計 | 体重−20.4% | プラセボ−3.0% | 出典7 |
| REDEFINE 2 | 肥満等+2型糖尿病 | 1,206 | 68週 | 中止を含む集計 | 体重−13.7% | プラセボ−3.4% | 出典9 |
| REDEFINE 5 | 日本・台湾の肥満症 | 331 | 68週 | 継続時の推定 | 体重−18.4% | セマグルチド2.4mg:−11.9% | 出典11 |
| REIMAGINE 2 | 2型糖尿病 | 2,713 | 68週 | 計画どおりの推定 | 体重−14.2%、HbA1c−1.91ポイント | セマグルチド2.4mg:体重−10.2%、HbA1c−1.75ポイント | 出典12 |
凡例:「中止を含む集計」(treatment policy/treatment-regimen)は途中で薬をやめた人も含めた数値です。「継続時の推定」(trial product)は薬を続けた場合を、「計画どおりの推定」(efficacy)は予定どおり治療を続けた場合を推定した数値です。
(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)
マンジャロを血糖管理のために使っている方では、体重とともにHbA1cも治療を判断する材料になります。
4. カグリセマはゼップバウンド・マンジャロより効く?REDEFINE 4の直接比較
REDEFINE 4では、カグリセマはチルゼパチド(ゼップバウンド・マンジャロの成分)15mgに劣らないと判断する基準(非劣性)を満たしませんでした。84週の体重変化は、継続時の推定で−23.0%対−25.5%です。
直接比較の結果
REDEFINE 4は、カグリセマがチルゼパチドに劣らない効果を持つか検証した試験です。糖尿病のない肥満の809人を対象に、カグリセマ2.4/2.4mgとチルゼパチド15mgを84週にわたって比べました。米国46施設で行われた、使う薬を参加者にも担当者にも知らせる「非盲検」の試験で、参加者に日本人は含まれず、開始時の平均体重は114.2kgでした。
84週の継続時の推定で比べると、体重変化はカグリセマ−23.0%対チルゼパチド15mg−25.5%で、減量幅の差は2.5ポイントです。中止を含む集計では、−20.2%対−23.6%でした(出典13)。ノボ ノルディスクの公表資料には、どこまでの差を許容するかという数値(非劣性マージン)の記載がありません。
別の直接比較試験として、SURMOUNT-5の結果も参考になります。SURMOUNT-5では、チルゼパチドとセマグルチドを、それぞれ無理なく使い続けられる最大量で比べました。この試験も非盲検で、72週の体重変化は、中止を含む集計でチルゼパチド−20.2%、セマグルチド−13.7%でした(出典14)。
2型糖尿病の人での比較と、低用量同士の比較
2型糖尿病の人を対象としたREIMAGINE 4も、68週の非盲検試験です。継続時の推定では、体重変化はカグリセマ2.4/2.4mgで−15.2%、チルゼパチド15mgで−15.8%。体重では、あらかじめ設定された非劣性の基準を満たしました。
一方、HbA1cの変化は−1.9対−2.2ポイントで、この基準を満たしていません。体重と血糖では、結果が異なります(出典15)。
REIMAGINE 5では、2型糖尿病の人を対象に、低用量のカグリセマ1.0/1.0mgとチルゼパチド5mgを60週にわたって比べました。計画どおりの推定では、体重変化は−12.4%対−9.1%です。比較相手は低用量の5mgであり、15mgとの比較は別の問題として扱います。この条件では、カグリセマの減量幅が大きい結果でした(出典16)。

診療では、試験の平均値と目の前の患者さんの治療目標を並べて見ます。新しさや減量幅だけで乗り換えを決めません。体重、血糖、続けやすさ、副作用を合わせて、その人に合うかを判断します。REDEFINE 4の結果から、今のマンジャロやウゴービで得られている効果を、新薬への期待だけで手放す理由はないと考えています。
5. カグリセマにはどんな副作用がある?症状が出たときの考え方
カグリセマの主な副作用は吐き気などの消化器症状で、多くは一時的かつ軽度〜中等度でした。症状のために治療をやめた人や、治療中に重い有害事象が起きた人もいます。
「有害事象」は治療中に起きた好ましくない症状などを指し、薬との因果関係を問わず数えます。REDEFINE 1では、消化器有害事象はカグリセマ群79.6%、プラセボ群39.9%でした。
| 試験・期間 | 項目 | カグリセマ群 | 比較した薬の群 |
|---|---|---|---|
| REDEFINE 1・68週 | 消化器有害事象 | 79.6% | プラセボ39.9% |
| 同試験 | 悪心(吐き気) | 55% | プラセボ12.6% |
| 同試験 | 便秘 | 30.7% | プラセボ11.6% |
| 同試験 | 嘔吐 | 26.1% | プラセボ4.1% |
| 同試験 | 有害事象による投与の永久中止 | 5.9% | プラセボ3.5%、セマグルチド単剤3.6%、カグリリンチド単剤2.6% |
| REDEFINE 2・68週 | 消化器有害事象 | 72.5% | プラセボ34.4% |
| 同試験 | 有害事象による中止 | 8.4% | プラセボ3% |
| REDEFINE 5・68週 | 有害事象 | 87% | セマグルチド2.4mg:84% |
| 同試験 | 消化器障害 | 53% | セマグルチド2.4mg:51% |
| 同試験 | 投与中止 | 10% | セマグルチド2.4mg:6% |
REDEFINE 1の吐き気・便秘・嘔吐の割合と、REDEFINE 2の中止割合は出典8による数値です。それ以外は各試験の論文に基づいています(出典7、9、11)。
症状が出やすい時期と、重い有害事象の報告
REDEFINE 1では、吐き気・下痢・嘔吐は薬の量を増やす時期に最も多く、その後は減っていました。便秘の頻度は、増量後もほぼ一定です。
NEJM誌の編集記事は、カグリセマ群の重篤な有害事象がセマグルチド単剤群より多いと指摘しています。同記事は薬との因果関係を評価しておらず、報告された死亡はREDEFINE 1・2を合わせて6例でした。いずれもカグリセマ群で、各試験に自殺1例が含まれています(出典17)。REDEFINE 5ではセマグルチドを使った人に死亡1例があり、治験薬との関連はないと判断されました。
医師が症状に応じて量を調整する
REDEFINE 1では、症状に合わせた用量の調整が認められていました。最大量まで増やすことだけが、治療の目標ではありません。
当院では承認薬を少量から段階的に増やし、投与初期や増量時の消化器症状に応じて、私が増量を遅らせるか、減量するかを判断します。漢方の併用も、副作用への対応を支える方法の一つです。症状がある方は、出始めた時期と増量との関係を記録して医師に伝えてください。こうしたマンジャロの副作用への対応を通じて、続けられる治療に整えます。
6. 投与法:週1回の注射と段階的な増量
カグリセマの試験では、週1回の皮下注射を少量から始め、段階的に量を増やしています。
試験で使われたデュアルチャンバーペンは、1本に2つの成分が入った、使い切りの自動注射器です。薬液はあらかじめ充填されています。使いやすさを調べた試験では、150人中1人を除く全員が注射を完了しました。使い方の練習にかかった時間の中央値は3分です(出典18)。
REDEFINE 5の試験登録では、4週間隔で16週かけて増量し、その後は52週にわたり同じ量を続ける計画でした(出典11)。
| 段階 | 期間 | カグリリンチド/セマグルチド |
|---|---|---|
| 開始 | 0〜4週 | 0.25/0.25mg |
| 漸増 | 5〜8週 | 0.5/0.5mg |
| 漸増 | 9〜12週 | 1.0/1.0mg |
| 漸増 | 13〜16週 | 1.7/1.7mg |
| 維持 | 17〜68週 | 2.4/2.4mg |
7. 既存薬・次世代候補との位置づけ
ウゴービはGLP-1、ゼップバウンド・マンジャロはGIP(食後に腸から出て血糖の調節に関わるホルモン)とGLP-1に働きます。カグリセマは、アミリンとGLP-1の働きを組み合わせた開発中の配合薬です。
マンジャロの国内の適応は2型糖尿病です。肥満症の治療薬とは適応が異なるため、今の薬と新薬を比べるときも、自分の病状に合う対象者の試験かを確認してください。
国内で承認されている薬
| 薬 | 成分・作用点 | 投与 | 国内の承認・開発状況 | 代表値(試験名・週) |
|---|---|---|---|---|
| ウゴービ | セマグルチド・GLP-1 | 2.4mg、週1回皮下注 | 肥満症。2026年6月19日にMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)の適応追加。肝硬変を伴わず中等度〜高度の線維化に限る | STEP 6・68週・ITT解析:−13.2%対プラセボ−2.1% |
| ゼップバウンド/マンジャロ | チルゼパチド・GIP/GLP-1 | 週1回皮下注 | ゼップバウンドは肥満症・OSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)、マンジャロは2型糖尿病 | SURMOUNT-J・72週:15mgで−22.7%対プラセボ−1.7% |
開発中の候補薬
| 薬 | 成分・作用点 | 投与 | 国内の承認・開発状況 | 代表値(試験名・週・推定方法) |
|---|---|---|---|---|
| ファウンダヨ | オルフォルグリプロン・低分子GLP-1 | 1日1回経口 | 日本未承認・申請状況は不明 | ATTAIN-1・72週・計画どおりの推定:最高用量−12.4%対プラセボ−0.9% |
| Wegovy錠 | セマグルチド・GLP-1 | 25mg、1日1回経口 | 日本未承認・申請状況は不明 | OASIS 4・64週・中止を含む集計:−13.6%対プラセボ−2.2% |
| カグリセマ | カグリリンチド+セマグルチド・アミリン系/GLP-1 | 週1回皮下注 | 日本未承認・米国申請済み | REDEFINE 1・68週・中止を含む集計:−20.4%対プラセボ−3.0% |
| レタトルチド | GIP/GLP-1/グルカゴン | 週1回皮下注 | 日本未承認 | TRIUMPH-1・80週・計画どおりの推定:12mgで−28.3%対プラセボ−2.2% |
| ゼナガムチド(旧アミクレチン) | 単一分子のアミリン/GLP-1 | 週1回皮下または1日1回経口 | 日本未承認・日本人対象の第3相試験も登録 | 第2相・対象は2型糖尿病・36週・継続時の推定:皮下最大−14.5%対プラセボ−2.6%、経口−10.1%対プラセボ−2.5% |
| MariTide | GLP-1作動+GIP拮抗 | 月1回以下の皮下注 | 日本未承認・日本人試験が進行 | 第2相・52週・中止を含む集計:−12.3〜−16.2%対プラセボ−2.5% |
| サーボデュタイド | グルカゴン/GLP-1 | 週1回皮下注 | 日本未承認・日本人第3相は主要評価を終了(結果は未公表) | SYNCHRONIZE-1・76週・計画どおりの推定:最大−16.6%対プラセボ−3.2% |
凡例:ITT解析は、原則として割り付けられた全員を元の群で評価する方法です。対象者・期間・推定方法が異なるため、表の数値は順位を示しません。
(スマートフォンでは表を横にスクロールできます)
出典:1、7、16、19〜30。
飲むGLP-1のファウンダヨとWegovy錠は、オルフォルグリプロンと経口GLP-1の解説記事で取り上げています。
開発中のレタトルチドが気になる方は、マンジャロとの違い・試験結果・副作用をまとめたレタトルチドの解説記事をご覧ください。
ゼナガムチドは1つの分子でアミリンとGLP-1の両方に働く薬です。2つの分子を組み合わせたカグリセマとは、別の薬に当たります。
体重を減らす薬とは別の方向で、筋肉量を保ちながら脂肪を減らすことを目指すビマグルマブも開発中です。ビマグルマブの作用と試験結果をまとめた解説記事では、筋肉量と筋力の違いや副作用、日本での開発状況も説明しています。
カグリセマの低用量の結果
低用量のREDEFINE 9は、2026年9月21日に結果公表済みです。1.0/1.0mgを使った68週の体重変化は、計画どおりの推定で−21.0%、プラセボ−2.0%でした(出典16)。
糖尿病のない方は、肥満症などの病状や適応に応じて、ウゴービやゼップバウンドなどの承認薬を検討できます。当院の診療の流れとフォロー体制は、マンジャロを中心にまとめた次の案内をご覧ください。
8. カグリセマはいつ使える?米国・日本の承認状況
カグリセマが日本で使える時期は決まっていません。米国では2025年12月18日に承認申請済みで、会社は判定を2026年10〜12月に見込んでいます。目標判定日は非公表で、日本では承認申請の発表もありません。
8-1. 米国:申請済み、目標判定日は非公表
ノボ ノルディスクは2025年12月18日、REDEFINE 1・2を根拠にFDAへ新薬承認申請を提出しました。PDUFA日(目標判定日)は非公表です(出典15、16)。
申請した適応の要旨は、食事・運動と併用し、肥満または体重関連の併存症が1つ以上ある過体重の成人で、体重減少と長期維持を目指すものです(出典1、16)。
欧州ではEMAが2025年5月に小児開発計画の変更を受理しました。これは販売承認とは別の手続きで、EMAと中国NMPAへの承認申請の発表はありません(出典32)。
8-2. 日本:未承認、申請の公表もなし
国内では未承認です。2026年9月29日時点で、日本の承認申請の発表はありません。PMDAの新医薬品承認品目一覧(2025年4月〜2026年3月)にカグリリンチド/カグリセマの掲載がなく、その後の企業の公表資料にも日本での承認や申請の記載がない状態です(出典15、16、34)。
日本の医療機関も、REDEFINE 5のほか、REDEFINE 1・3、REIMAGINE 2・3などの試験に参加しています。試験の参加状況は、jRCTの登録やノボ ノルディスク ファーマ株式会社(以下、ノボ ノルディスク ファーマ)の臨床試験情報のページで確認してください(出典33)。
国内では企業の申請後、有効性・安全性などの審査と部会での審議を経て、承認の判断に進みます。既存薬でも、承認・薬価収載・発売は別の日付でした。
| 手続き | 内容 | ウゴービの実例 | ゼップバウンドの実例 |
|---|---|---|---|
| 承認 | 国内での承認判断 | 2023年3月27日 | 2024年12月27日 |
| 薬価収載 | 薬価基準への収載 | 2023年11月22日 | 2025年3月19日 |
| 発売 | 販売開始 | 2024年2月22日 | 2025年4月11日 |
出典:19、22、23。
8-3. 今後の試験結果の予定
REDEFINE 11の結果公表は2027年上半期、高用量(カグリリンチド2.4mg+セマグルチド7.2mg)の試験は2028年上半期が予定されています。心臓や血管の病気への影響を調べるREDEFINE 3は、主要な評価を2027年9月に終える予定です(出典13、15、35)。

9. 糖尿病専門医としての考え:今できる治療を整える
私は、REDEFINE 4でチルゼパチド15mgへの非劣性を示せなかった結果を踏まえ、カグリセマを誰にでも優先する薬とは考えていません。体重、血糖、副作用、続けやすさから、その人に合う治療を判断します。
カグリセマが使えるまで、治療を待つべきか?
新薬を待つためだけに治療を先送りすることは勧めません。新薬を待つ間も、体重や血糖の管理に取り組む必要があるからです。
待つこと自体が悪いわけではありません。マンジャロ、ウゴービ、ゼップバウンドなど、今国内で承認されている薬を病状や適応に応じて選び、得られる効果を引き出しながら待つ。それが医学的に堅実な方針だと考えています。
今の薬で効果があり、無理なく続けられているなら、新しさだけを理由に乗り換えを急ぐ必要はありません。今ウゴービやマンジャロを使っている方で副作用に困っているなら、承認を待つより先に、現在の用量や治療の組み立てを見直します。
薬で体重が減っても、筋肉と生活習慣を置き去りにしない
診療では、体重と一緒に筋肉量も減ってしまうケースを繰り返し見てきました。タンパク質の摂取や筋力トレーニングが十分でないまま薬をやめると、体重が戻り、筋肉量の減少が残ることがあります。
GLP-1受容体作動薬は、食事・運動による改善を後押しする「ブースター」と捉えています。承認を待つ時期も、食事と運動を続けることで薬の効果を生かせます。
承認薬のマンジャロ・ウゴービ・ゼップバウンドについて、体組成データから考える筋肉の減少と対策をまとめました。食欲がない日のタンパク質のとり方や、自宅でできる筋トレなど、今から取り組めることを確かめてください。
個人輸入を勧めない3つの理由
カグリセマを個人輸入して使うことを勧めません。
- 日本人での長期安全性データが限られています。
- 個人輸入した薬で副作用が起きても、医薬品副作用被害救済制度の対象外です(出典37)。
- 個人輸入した薬は、正規のメーカー品を偽った偽造製品である可能性があります(出典37)。
今の病状に合う承認薬で治療を進めることを、私は優先します。
当院で治療を判断するときに見ること
診察では、今使っている薬、体重と血糖の変化、困っている症状を確認し、治療目標を決めています。消化器症状があるときは、用量を調整します。日本東洋医学会にも所属しており、漢方の併用でも治療を支えています。
当院は2023年4月以降、マンジャロ(チルゼパチド)を1,000例以上処方しており、全国対応のオンライン診療から必要に応じて対面診療や血液検査に切り替える体制です。セマグルチドの相談は、ウゴービ(セマグルチド)の当院での診療案内から確認できます。
10. カグリセマについてよくある質問
今の治療の効果と副作用を主治医と確認し、用量や治療内容の見直しを診察で相談してください。
Q1. カグリセマは日本で承認されていますか?いつ使えるようになりますか?
日本では未承認で、国内の承認申請も公表されていません。使える時期は未定です。米国の目標判定日は非公表で、Novo Nordiskは2026年10〜12月の判定を見込んでいます。
Q2. 米国で承認されれば、すぐ日本でも使えますか?
米国で承認されても、日本ですぐに使えるわけではありません。国内では申請の公表がなく、日本での審査と承認などの手続きが必要です。承認後も、発売までは別の段階があります。
Q3. 治療を待つべきですか?今の薬から乗り換えるべきですか?
新薬を待つ間も、病状に合う承認薬で治療を続ける方針を勧めます。今の薬の効果があり、無理なく続けられていれば変更を急がず、症状に困っているときは用量や治療内容を主治医と見直してください。
Q4. 日本で買えますか?個人輸入はできますか?
国内で承認された薬としては入手できません。個人輸入は勧めません。日本人での長期安全性の情報が限られ、副作用による健康被害は救済制度の対象外となり、購入した薬が偽造品の可能性もあるためです。
Q5. ウゴービとの違いは何ですか?
ウゴービのセマグルチドに、アミリンの働きをするカグリリンチドを加えた点が違います。REDEFINE 1の68週では、中止を含む集計で、体重変化はカグリセマ−20.4%、セマグルチド単剤−14.9%でした。
Q6. ゼップバウンド・マンジャロとの違いは何ですか?
ゼップバウンドとマンジャロは、GIPとGLP-1に働くチルゼパチドという成分を使っています。カグリセマは、アミリンとGLP-1の働きを組み合わせた薬です。日本では、ゼップバウンドは肥満症・OSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)、マンジャロは2型糖尿病が対象となります。
Q7. チルゼパチドより効きますか?
REDEFINE 4では、チルゼパチド15mgへの非劣性は示されず、カグリセマのほうが大きく体重を減らしたとはいえません。84週の継続時の推定による体重変化は、カグリセマ−23.0%、チルゼパチド−25.5%でした。
Q8. 主な副作用は何ですか?
吐き気、便秘、嘔吐などの消化器症状が中心です。試験では多くが一時的で、程度も軽度〜中等度でしたが、治療をやめた人もいました。
Q9. 注射は週に何回ですか?ペンはどんなものですか?
週1回の皮下注射で、少量から段階的に増やす方法です。試験で使われたペンは、薬液をあらかじめ充填した使い切りの自動注射器で、1本に2成分が入っています。
Q10. 糖尿病がある人も研究対象ですか?
はい。肥満・過体重と2型糖尿病がある人を対象にしたREDEFINE 2があります。68週の体重変化は、中止を含む集計でカグリセマ−13.7%、プラセボ−3.4%でした。
Q11. 治験に参加できますか?
募集状況は試験ごとに異なり、参加できるかどうかは実施医療機関が判断します。jRCTの登録とノボ ノルディスク ファーマの臨床試験情報で、対象条件や募集状況を確認してください。
Q12. 今は何をすればよいですか?
体重や血糖の経過、薬の名前と量、症状が出始めた時期を整理し、主治医に伝えてください。食事や運動で続けられていることと難しいことも共有すると、治療を見直す際の材料になります。
Q13. CagriSemaはどう読みますか?
「カグリセマ」と読みます。カグリセマは配合薬の開発名で、カグリリンチドは、その配合薬に含まれる成分の名前です。
Q14. カグリリンチドとアミリンとは何ですか?
アミリンは膵臓のβ細胞から分泌され、満腹感や食欲の調節に関わるホルモンです。カグリリンチドは、その働きに似せて体内に長くとどまるようにした成分で、カグリセマに含まれます。
11. まとめ:カグリセマの情報を今の治療相談に生かす
カグリセマは、セマグルチドにアミリンの働きを加えた配合薬です。REDEFINE 1ではセマグルチド単独より大きな減量幅を示し、REDEFINE 4ではチルゼパチド15mgへの非劣性の基準を満たしませんでした。
私は、現在の治療で体重や血糖を管理でき、無理なく続けられているかを重視します。
診察前には、次の点を整理してください。今の治療を続けるか見直すかを判断する手がかりです。
- □ 今使っている薬を整理した
- □ これまでの体重や血糖の経過をまとめた
- □ 副作用など困っている症状と、出始めた時期を記録した
- □ 食事や運動で続けられていること、難しいことを整理した
- □ 新しい薬について知りたいことをまとめた
効果と副作用には個人差があるため、治療の選択や変更は医師と相談してください。
当院では2023年4月以降、マンジャロを1,000例以上処方しています。オンライン診療は全国に対応し、必要に応じて対面診療や血液検査へ切り替える体制です。副作用には、日本東洋医学会に所属する私が漢方の併用でも対応します。
リンク先でマンジャロオンライン診療の流れとフォロー体制を確認し、病状に応じた承認薬の選び方も相談できます。
監修者

小林 正敬(こばやし まさたか)|まさぼ内科・糖尿病クリニック飯田橋院(東京・飯田橋/糖尿病内科・代謝内分泌内科・内科)代表理事兼院長。日本糖尿病学会 糖尿病専門医(第06341号)、日本内科学会 総合内科専門医(第022910号)、日本糖尿病協会療養指導医、日本東洋医学会所属。糖尿病・代謝・内分泌を専門とし、GLP-1/GIP受容体作動薬を用いた治療と漢方診療に対応しています。院長紹介はこちら (監修日:2026年9月29日/最終更新:2026年9月29日)
関連ページ
参考・出典
- Novo Nordisk, 2025-12-18, カグリセマのFDA申請発表。企業リリース
- Cao et al., Nature Communications 2025;16:3389。分子構造・受容体の論文
- FDA, SYMLIN米国添付文書、2014、§12.1。アミリン一般の作用
- Boyle CN et al., Mol Metab 2018;8:203-210, PMID 29203236, DOI 10.1016/j.molmet.2017.11.009。アミリンの生理作用
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- 厚生労働省。医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(個人輸入した医薬品は救済制度の対象外・偽造製品の可能性)